【デジタルツインを作るプラットフォーム】Omniverseを紐解く
みなさん、こんにちは。広域システム営業部です。
昨今のAI需要の一つとして「フィジカルAI」がありますが、関連するワードとして「Omniverse」「Isaac Sim」などのワードを
耳にする機会も増えていると思います。今回は「Omniverse」について現在の役割と立ち位置を少し紐解いて行きたいと思います
1. 現在のNVIDIAの戦略における、Omniverse
初期のOmniverseは、クリエイティブ向けの側面が色濃い物でした。しかしNVIDIAのCEOジェンセン・フアン氏は、近年Omniverseのことを
「フィジカルAIのためのオペレーティングシステム」と明言しており、現在のNVIDIAの戦略において、Omniverseは
「フィジカルAI(物理AI)に最も特化したプラットフォーム」へと完全に定義がシフトされ、ロボティクスや自動運転、スマートファクトリーなどの
産業用AIを育てるための最重要インフラとして変化を遂げています
2. Omniverseとは
NVIDIA Omniverse(オムニバース)は、一言でいうと「あらゆる3Dデータをリアルタイムにつなぎ、現実そっくりの仮想世界(デジタルツイン)
を構築・シミュレーションするための強力なプラットフォーム」です。ではOmniverseはどの様なプラットフォームなのでしょうか?
Omniverseの「3つのポイント」を纏めてみました
1. 3Dソフトをつなぐ「共通語」 (OpenUSD)
3Dソフトは様々なメーカーが、それぞれの特徴を持たせリリースがされています。モデリングに特化したもの、レンダリングの質簡に定評がある等
様々です。またそれぞれ独自の「言語」「拡張子」でデータを保存しています。DXFと言う共通の拡張子でエクスポートも出来ましたが、
別のソフトにインポートする際にポリゴンが崩れたり、テクスチャがずれたりする事がありました。私も苦労した経験があります、、。
Omniverseは、ピクサー・アニメーション・スタジオが開発した「OpenUSD(Universal Scene Description)」という共通言語を全面的に
採用しています。これにより、どのソフトで作られたデータでも、Omniverseに持っていけば、変換することなく、ありのままの姿で
表示・編集ができるようになります。イメージとしては、世界中の人が共通語で話せるようになったようなものです。
2. 「仮想空間での」のシミュレーション (デジタルツイン)
Omniverseは、単に綺麗な3D映像を作るだけではありません。NVIDIAが持つ強力な物理演算技術によって、光の反射、重力、摩擦、風、
マテリアル(質感)にいたるまで、現実世界と同じ物理法則を仮想空間の中で正確に再現できます。これを利用して、現実と全く同じ
「工場のデジタルクローン」を仮想空間に作りそこで新しいロボットを走らせるテストを行う、といったことができます。
これを「デジタルツイン」と呼んだりします
3.「リアルタイム」の共同作業場として
異なる場所にいる複数のクリエイターやエンジニアが、それぞれの得意なソフトを使いながら、一つのOmniverse上のシーン(仮想世界)で
同時に作業できる場所、という言い方が解りやすいでしょうか。例えば「AさんがBlenderで椅子の形を変えると、
BさんがUnreal Engineで見ている画面でも、即座にその椅子の形が変わる」といった、連携が可能になります。これまでの3D制作での
「同時作業」が難しかった理由の一つが、前述した「データがソフトごとに孤立し、1つのファイルを全員で共有できなかったから」
がありますが、Omniverseは、この問題を「Omniverse Nucleus(ニュークリアス)」という中心サーバーと、共通言語である「OpenUSD」
の組み合わせで解決しました。

3. 様々なアプリケーションの展開
NVIDIA Omniverseは、共通の土台である「Omniverse Kit」の上に、特定の用途に特化した様々なアプリケーション
(またはリファレンスアプリケーション)を展開しています。これまでの説明の通り、「Omniverseというオペレーティングシステム」上で動く
「専用アプリ」のようなイメージです。NVIDIAが公式に提供している、代表的なアプリケーションとその用途をいくつか簡単にご紹介します。
1.Omniverse USD Composer
最も汎用的なアプリケーションです。異なるツールから集めてきたOpenUSDデータをこの中で「合体」させます。
広大な仮想世界を組み立て、リアルタイムでリアルな光(RTXレンダリング)や物理法則を適用し、最終的な映像や
静止画を作り出すための中心的な場所です。
2.Isaac Sim
「フィジカルAI(ロボティクス)」に完全特化したアプリケーションです。USD Composerなどで作ったリアルな工場や倉庫のデータ
(環境)の中に、仮想のロボットを配置してテストを行います。バーチャルセンサーや(ロボットの「目」となるカメラやレーザーセンサー(LiDAR)を
仮想空間内で本物そっくりに作動させる)等が特徴です。主にロボット開発者、工場・物流の自動化を進めるエンジニアが活用しています
3.PhysicsNeMo
「フィジカルAI」や「デジタルツイン」の進化において、今最も注目されている「物理法則を学習・予測するAI(物理AI)」を開発するための
フレームワーク(開発キット)です。これまでのAIはデータ(画像や文字)だけを学習していましたが、PhysicsNeMoで作るAIは、データのほかに
「重力」「流体力学(空気や水の動き)」「熱伝導」といった地球の物理法則(方程式)も一緒に学習します。現実世界に即した正確な予測が可能です

4. NVIDIA Omniverseが示す「フィジカルAIのOS」という未来
ここまでOmniverseを少しですが紐解いてきました。単なる制作ツールから、より高度な「フィジカルAIのOS(オペレーティングシステム)」へと
Omniverseがどのように進化し、産業の未来を変えようとしているのか、Omniverseは「フィジカルAI開発に革命を起こす」存在となりつつあり、
産業用ロボット、自動運転、スマートファクトリーといった、現実世界で動くAI(フィジカルAI)を開発・訓練・テストするための、
最も効率的なプラットフォームとして歩みを加速させています。
次回、機会がありましたら「Isaac Sim」「PhysicsNeMo」についても紐解いて行きたいと思います。
下記も併せてお読み頂けましたら幸いです。
→【技術レポート】Omniverseを導入してみました
→【徹底解説】NVIDIA フィジカルAIプラットフォームの全貌について
→NVIDIA Omniverse + 動作推奨ワークステーションはこちら


