材料シュミレーションをもっと身近に。「Advance/NanoLabo」のご紹介と、計算エンジンの初心者向け解説

みなさんこんにちは。アプライド広域システム営業部です。
材料開発やナノスケールの研究において、「従来の実験だけに頼る試行錯誤型の開発が限界を迎えていること」と「計算技術そのものが劇的に進化したこと」により
「第一原理計算」や「分子動力学シミュレーション」の重要性は日に日に高まっています。
シュミレーションによって得られる効果としては
- ・開発期間とコストの劇的な削減
- ・実験では「見えない」原子・電子レベルの挙動がわかる
- ・マテリアルズ・インフォマティクス(MI)との融合
- ・サステナビリティと環境・安全面の制約
が挙げられます。
しかし、これからシュミレーションを始めたいという方にとってシミュレーションソフトの操作や入力ファイルの作成、環境構築は非常にハードルが高いのが現実です。
そこで今回は、アドバンスソフト株式会社が提供するナノ材料解析統合GUI環境「Advance/NanoLabo(ナノラボ)」をご紹介します。
また、NanoLaboの裏側で動いている世界標準の計算エンジン「Quantum ESPRESSO」と「LAMMPS」についても、初心者向けにわかりやすく解説します。
直感的な操作を実現する「Advance/NanoLabo」とは?
Advance/NanoLabo は、オープンソースの計算材料科学エンジンを、直感的なグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)で操作できるようにしたソフトウェアです。
【主な特長】
- データベース連携でモデリングが簡単:化学式や分子名を入力するだけで、Materials ProjectやPubChemといった巨大な材料データベースから瞬時に結晶・分子構造を検索・取得できます。
- グラフィカルなモデル作成:スーパーセル(拡張格子)の作成、不純物の置換、表面や界面のモデル化などがマウス操作で直感的に行えます。
- 設定から可視化までオールインワン:面倒な計算条件の入力ファイルを自動生成。計算終了後は、バンド構造や分子の動きなどを瞬時に3Dグラフィックスやアニメーションで可視化してくれます。


初心者でもわかる!ソルバー(計算エンジン)の仕組み
材料シュミレーションにおいてはオープンソースソフトも広く利用されていますが、
- ・コマンドラインでの操作で初心者には敷居が高い
- ・サポートがなくGitHubなどで情報を調べて自己解決する必要がある
- ・環境構築が難解
などのハードルがあります。
NanoLaboの最大の強みは、コマンド操作が必要で難解な「オープンソースの計算エンジン」を、GUIの裏側で全自動で動かしてくれる点です。
ここでは、主要な2つの計算エンジンについて簡単に解説します。
① Quantum ESPRESSO(クオンタム・エスプレッソ
分野:第一原理計算(密度汎関数法・DFT)
Quantum ESPRESSOは、実験データに頼らず、量子力学の基本方程式(シュレディンガー方程式など)から物質の性質を計算する世界中で使われているソフトウェアです。
■何をしているの? 物質の中の「電子」がどのように分布し、どのように振る舞っているかを計算します。
■何がわかるの? その物質が電気を通しやすいか(金属か半導体か絶縁体か)、光をどう吸収するか、どんな磁性を持つかといった、材料の根本的な性質がわかります。
■NanoLaboを使うメリット 本来、電子状態を計算するためには原子ごとの「擬ポテンシャル」という複雑なデータを探してきて、難解なテキストファイルを書く必要があります。NanoLaboを使えば、これらをすべて自動で設定し、専門的な「バンド図(電子のエネルギー状態を表すグラフ)」などもクリック一つで美しく描画してくれます。

② LAMMPS(ランプス)
分野:分子動力学(MD)シミュレーション
LAMMPSは、数千から数百万個という大量の原子や分子が、時間とともにどう動くかをシミュレーションする大規模計算が得意なソフトウェアです。
■何をしているの? 原子を「ボール」、原子同士の結合を「バネ」のように見立てて、ニュートンの運動方程式(力学)に従って原子がどう動くかを計算します。
■何がわかるの? 温度を変えたときに物質がどう溶けるか、圧力をかけたときにどう変形・破壊されるか、液体の中で分子がどう拡散するかといった、よりマクロな(現実の現象に近い)物理的な動きがわかります。
■NanoLaboを使うメリット LAMMPSは本来、一行ずつコマンドを書き連ねたスクリプトファイルを用意しなければ動きません。NanoLaboでは、パラメータを画面上で選ぶだけで計算がスタートし、計算結果は「分子が実際に動いているアニメーション動画(MP4)」としてすぐに見ることができます。

豊富な解析事例
NanoLaboを使って実際にどのようなことができるのか、解析事例ページ(http://case.advancesoft.jp/NanoLabo/index.html) では多数のケーススタディが公開されています。
■第一原理計算の事例
シリコン単結晶の密度状態やバンド構造の計算、白金表面への一酸化炭素(CO)の吸着構造の解析など、半導体や触媒の研究に直結する事例が紹介されています。
■分子動力学の事例
鉄単結晶のシミュレーションや、液体中の分子の拡散・熱伝導の解析など、材料の物理特性や熱力学的特性を評価する事例が豊富に揃っています。
事例ページには、具体的な操作画面や美しい可視化結果の画像・動画が多数掲載されていますので、ご自身の研究テーマに近いものがないか、ぜひチェックしてみてください。
おわりに
「Quantum ESPRESSO」や「LAMMPS」といった強力な計算ツールは、世界中の研究を支えていますが、その学習コストの高さが課題でした。
Advance/NanoLaboは、その壁を極限まで低くし、「やりたいシミュレーションに最短でたどり着ける」素晴らしいツールです。
材料シミュレーションにこれから挑戦したい方、あるいは入力ファイルの作成に時間を奪われている研究者の方は、
ぜひAdvance/NanoLaboの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
アプライドではAdvance/NanoLabo以外にも材料分野のAI画像解析ソフト
- ・SEM/TEMなどの3D画像解析ソフト「Dragonfly」
- ・粒子・粉体向けAI画像解析ソフトウェア「AIPAS」
などを扱っています。
材料解析関連のソフトウェア、またはハードウェア導入のご相談は、ぜひアプライドへお問い合わせください。

