“人の目”から“AIの目”へ 属人化からの脱却と品質の安定化を目指して

大和金属工業株式会社 様

取り扱い加工品精密部品から大型筐体まであらゆるプレス品
製造する業種環境、液晶、産業、遊技、音響照明etc… 
製造する部品ソーラーパワコン、蓄電池筐体、液晶機構板金、FA機器全般etc…
従業員数160名 (2023年10月末日現在)
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昭和24年創業のプレス金型の専門メーカー・大和金属工業株式会社。金属加工の原点とも言える「抜く・曲げる・絞る・鍛える・削る」の技術を軸に、多拠点で多品種の部品製造を手がけています。製造、出荷の過程で重要な製品チェック。特に、出荷前の属人化が課題だった外観検査工程に、アプライドのAI外観検査ソリューションを導入。品質の安定化と現場力強化を両立する新たな取り組みが始まっています。今回は、外観検査・出荷を扱う出戸倉庫の関さんにお話をお伺いしてきました。

目視検査からAI外観検査を導入

課題

検査工程の「作業性」「属人化」

熟練スタッフに依存した体制が続き、
検査ラインが止まるという不安が
常につきまとっている。

導入効果

誰が作業しても安定した検査

作業効率が大きく改善され、従来と同等の
スピードを維持しつつ、作業負荷の低減と
安定した検査運用が実現

属人化の限界——現場が抱えていた課題
2回の操作が必要だった従来の検査工程

創業70年を超える老舗金属加工メーカー、大和金属工業株式会社(本社:大阪市平野区)。金属加工、主にプレス品を製作し、ソーラーパワコンや蓄電池の筐体から液晶製品の板金、産業製品や遊技製品などさまざまな業種の重要部品を手がけ、福井に3拠点、大阪に3拠点を設立。福井工場では、金型を用いたプレス加工に加え、スポット溶接や付属品の組付けが行われます。仕上がった製品は塗装工程を経て、出戸倉庫へと搬送されます。出戸倉庫は、工場ではなく検査・出荷を専門とする拠点であり、今回AI外観検査が導入されたのは、こちらの出戸倉庫です。出荷前の「目視による外観検査」が品質を支える重要な工程の一つでしたが、目視検査には大きな課題がありました。

5台のカメラで撮影した画像を一度にチェックでき、作業効率アップ
異物や汚れなどを感知すると異常という反応が起こる
AI検査で異常が出た製品を目視でチェック

関さん

「検査工程の「作業性」「属人化」という2つの課題が明確になっていました。AI導入以前の外観検査は、熟練した作業者による目視検査に頼っていました。検査は製品ワークに対し、内側・外側の両面検査で、製品ワークを作業台に置き、または製品ワークを持ちながら、内側・外側の順序で何台も同じ作業の繰り返しが必要でした。この煩雑な工程が、作業効率を大きく制限していたのです。検査の判断には製品仕様に対する深い理解が求められ、対応できる人材は限られていました。特に、外国籍スタッフへの技術継承や基準判断の教育には時間と難しさが伴い、実質的に日本人の熟練スタッフに依存した体制が続いていました。そのため、一人でも休むと検査ラインが止まるという不安が常につきまとい、現場では「属人化のリスク」が顕在化していたのです。このような背景から、「誰が作業しても安定した検査ができる仕組み」を構築すべく、AIカメラの導入に踏み切ることとなりました。まずは、ベルトコンベアを導入し、検査対象の搬送と向き変えを自動化したことで、作業効率が大きく改善。従来と同等のスピードを維持しつつ、作業負荷の低減と安定した検査運用が実現しました」と関さん。

金型は重いため、ベルトコンベアがあることで作業者の負担を軽減

AI導入は“道具”ではなく“プロセス”
画角とスピードが決め手に

こうした課題を解決すべく、大和金属工業は2024年、製造現場にAI外観検査の導入を決断。

関さん

「きっかけは、マスキングを取り外す工程で、外し忘れが無いかのチェックを行っている事に対し、『カメラで検知すれば外し忘れは防止出来るのでは?』とアドバイスを顧客から頂いたことでした。単にビスの有無を確認するだけでなく、『外観全体を見られるならなお、良い』と考え、アプライド社に相談しました。『会社全体で検査対象を“見える化”することができる』という提案に納得し、AI検査の導入を決断しました。実は、ほかに2社と比較検討していましたが、製品全体を一度で撮影できる広い画角と、極めて高速なシャッタースピードがアプライド社を選んだ決め手になりました。他社のカメラは1回で撮影できる範囲が100×100㎜程度と狭く、600㎜の製品を検査するには6回も撮像を繰り返す必要がありました。そのたびに、カメラや製品を動かく機構が必要で、結果として設備が大型化し、コストが増加してしまいます。さらに、コーナー部分など微細な異常の検出も難しく、検査精度に不安が残りました。

一方、アプライド社のシステムでは、

広角カメラによって製品全体を一度で撮影可能

0.0数秒の高速シャッターでスループットに影響なし

複数カメラを定位置に設置することで側面・上面を同時にカバー

といった実現性の高い技術提案を実施。撮影対象がベルトコンベア上を流れるだけで、設備を複雑化せずに検査を自動化できることが高く評価されました。

また、アプライド社は開発体制も柔軟で、現場からの要望や改善点に対し、スピーディに対応してくれる点も決め手となりました。担当者の方が、リモートでも、現場の細かなニュアンスまで丁寧に拾ってくれました。検出エリアの指定や判定基準のすり合わせなど、従来なら現地での調整が必要だった作業が、遠隔で効率よく進められたことは大きな成果でした」と関さん。


現場で特に工夫したのは、検査画像の撮像環境。AIは光の当たり方や陰影の違いで判定が揺れることがあります。製品を均一に照らすため、照明角度や反射防止の処理など細かい調整が求められました。

カメラの角度や照明も工夫
製品をまんべんなく撮影できるよう、カメラは5台設置
影なども検知してしまうため、ライティングで全体に光が当たるよう工夫

また、カメラ導入当初(コンベア導入前)、カメラの下に製品ワークをスライドテーブルで運び、内側を見た後、テーブルを引き、製品ワークを裏返し、再度カメラの下に運び製品の表裏両面〈内側・外側〉を見せる必要があり、1製品あたり2回のカメラ下への設置・取り外し作業が発生していました。これは作業効率の大きなボトルネックとなっていました。この課題に対し、検査工程にL字型のベルトコンベアを導入。製品の搬送経路をL字に曲げることで、一つ目のコンベアには内側が見れるように、二つ目のコンベアでは外側が見れるように、中間地点にスタッフを配置させ、一つ目から出てきた製品ワークをスタッフが受取、二つ目のコンベアに向きを変え、載せ替える事で連続的に撮像できる構成を実現したそうです。

ベルトコンベアをL字にしたことで、作業効率もアップ

AIと人の適切な役割分担が、次の現場力をつくる
若手の人材育成や成長にも波及

AI外観検査システムの導入は大阪の「出戸倉庫」で実施されましたが、今後の展開として福井工場への導入も検討されています。

大和金属工業株式会社の製品は、次のような工程で流れています。

1.福井工場:金型を使ったプレス加工およびスポット溶接などの前工程を実施

2.マスキング処理:塗装前に指定部位への塗料付着を防ぐ処理

3.大阪の協力塗装会社:外注による塗装処理

4.出戸倉庫(大阪):塗装品の荷受けから、外観検査及び付帯作業、出荷業務
1マスキングビスの取外し
2)マスキングシールの除去
3)外観検査
4)包装・梱包
5)出荷

このように、現在は検査・出荷を大阪で集中的に実施しており、AI外観検査装置も出戸倉庫に設置されています。ただ将来的には福井工場側でも多種多様の顧客のニーズに併せてプレス加工現場にAIカメラ検知を挿入することで、全体の工程をより効率化できる可能性があるため、福井拠点での導入拡大も視野に入れた検討が進められています。物流と検査の最適な配置を再構築することが、全体のスループット改善や人員配置の最適化につながると期待されています。

検品と出荷を扱う出戸倉庫。時には10トン車が8台行き来する

また、外観検査が熟練者に依存していたため、若手社員の早期育成が難しく、人的リソースの偏りが課題となっていました。判断力を要する属人的な作業は若手にとってハードルが高く、検査工程への参加も限定的でした。

AI外観検査の導入により、経験に依存せず安定した検査が可能となり、若手も戦力化しやすい環境づくりが実現しました。

大和金属工業株式会社
西日本統括リーダー  関 耕一 様

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