生成AIは「答える」から「動く」へ。NVIDIA Nemotronで始めるエージェント型AI

導入|生成AIは「回答するAI」から次のステージへ
みなさんこんにちは。アプライド広域システム営業部です。
ChatGPTをはじめとする生成AIの普及により、文章生成や要約、翻訳、プログラミング支援など、さまざまな場面でAIが活用されるようになりました。
一方、企業や研究開発の現場では、単に質問に答えてもらうだけではなく、
・社内の技術資料から必要な情報を自動で探す
・複数の情報を比較して次に行うべき作業を判断する
・外部ツールや業務システムを操作する
・調査、分析、コード生成、レポート作成までを一連の流れで進める
といった、さらに高度なAI活用への期待が高まっています。
こうした、目的に応じて自ら推論し、必要な情報やツールを利用しながらタスクを進める仕組みが、「エージェント型AI(Agentic AI)」です。
そして、このエージェント型AIを支えるオープンなモデルファミリーとしてNVIDIAが展開しているのが、NVIDIA Nemotron(ネモトロン)です。
NVIDIAはNemotronを、長時間稼働する専門的なエージェント型AIシステム向けに構築された、高効率かつオープンなマルチモーダルモデル、データセット、テクノロジーのファミリーと位置付けています。推論、コーディング、視覚理解、安全性、音声、情報検索など、エージェント型AIに必要となるさまざまな領域をカバーしています。
今回は、NVIDIA Nemotronとは何なのか、従来の生成AIと何が違うのか、そして製造業・研究開発でどのような活用が考えられるのかをご紹介します。
NVIDIA Nemotronとは?
NVIDIA Nemotronは、単なる「チャット用のLLM」ではありません。
高度な推論やコーディング、RAG(検索拡張生成)、画像・音声理解、安全性など、AIエージェントを構成するさまざまな役割を担うモデルやテクノロジーのファミリーとして展開されています。
従来の生成AIでは、
質問 → AIが考える → 回答
という流れが中心でした。
これに対してエージェント型AIでは、
目的を理解する
↓
必要な作業を考える
↓
情報を調べる
↓
ツールを実行する
↓
結果を確認する
↓
必要であれば再び考える
という複数ステップを繰り返しながら、目的の達成を目指します。

「回答するAI」から「行動するAI」へ
従来の
ユーザー → 質問 → LLM → 回答
と、
目的・指示 → Nemotron → 考える・調べる・実行する・確認する → タスク完了
を比較した画像です。
つまりエージェント型AIでは、AIが単に「答えを生成する」だけではなく、目的を達成するために情報やツールを利用しながら処理を進めることが大きな特徴となります。
Nemotronの特徴は「オープン」と「カスタマイズ性」
Nemotronの大きな特徴のひとつが、そのオープン性です。
NVIDIAではNemotronについて、モデルだけではなく、トレーニングデータやモデル開発・カスタマイズのためのレシピなども公開しています。
これにより、既存のAIサービスをそのまま利用するだけではなく、
自社のデータ
+
専門知識・業務ノウハウ
+
Nemotron
を組み合わせ、自社用途に合わせたAIシステムや専門AIエージェントを構築することが可能になります。
Nemotron 3では、Nano、Super、Ultraという3つのモデルが展開され、高いエージェント性能や推論性能と、効率的なAI処理の両立が意識されています。

「NVIDIA Nemotronは『モデル』だけではない」
OPEN MODELS
+ OPEN DATA
+ OPEN RECIPES / TOOLS
と、
企業の社内データ・専門知識・業務ノウハウ
を組み合わせ、
自社専用AI/専門AIエージェント
へつなげる図です。
企業独自のデータや専門知識をAIに組み込むことができれば、汎用的なチャットAIから一歩進んだ、自社の業務や研究開発領域に特化したAI活用につなげることができます。
1つの巨大AIから「System of Models」へ
エージェント型AIでは、必ずしもすべての処理を最も大きなAIモデルに任せる必要はありません。
例えば、
高度な判断や複雑な計画には高性能な推論モデル
大量の定型処理には小型・高速なモデル
社内情報検索にはRAG向けモデル
AIの安全性確認にはSafetyモデル
というように、タスクに応じて適したモデルを使い分ける考え方があります。
NVIDIAではこれを「System of Models」として紹介しており、NeMo SwitchyardによってAIエージェントの各処理を適切なモデルへ振り分ける仕組みも展開しています。
2026年8月に発表されたNemotron 3.5 Lightningも、こうしたSystem of Modelsを意識したモデルです。30B総パラメータ/3BアクティブパラメータのMoEモデルとして、常時稼働するAIエージェントにおける大量・低遅延の専門タスク処理向けに設計されています。

「1つの巨大AIから『System of Models』へ」
TASK
↓
AI Agent / Orchestrator
↓
高度な推論・計画/高速・専門タスク/専門機能
↓
結果統合
↓
OUTPUT
という構成です。
すべてを1つの巨大なAIに処理させるのではなく、それぞれのAIが得意な仕事を担当する「AIチーム」のような構成にすることで、性能・処理効率・コストのバランスを取りやすくなります。
製造業・研究開発で広がるNemotron活用
では、Nemotronを活用したAIエージェントは、実際にどのような場面で利用できるのでしょうか。
特に製造業や研究開発分野では、次のような用途が考えられます。
① 社内RAG・ナレッジAI
企業内には、
・技術資料
・製品マニュアル
・設計資料
・品質情報
・過去のトラブル情報
など、大量のデータが蓄積されています。
RAGとAIエージェントを組み合わせることで、
「過去に同じ不具合はなかったか」
「この設備の保守手順を探してほしい」
「複数の仕様書から条件に合う情報をまとめてほしい」
といった問い合わせに対し、必要な情報を検索・抽出・整理して回答する仕組みを構築できます。
② 研究開発AIエージェント
研究開発では、論文や技術情報の調査、実験結果の整理、解析、プログラム作成など、多くの作業が発生します。
AIエージェントを活用することで、
論文・技術情報の検索
↓
関連情報の比較
↓
データ解析
↓
コード生成
↓
結果整理
↓
レポート作成
といった一連の業務を支援することができます。
Nemotron 3 Ultraは、複雑な計画や高度な推論を行う用途を想定したNemotron 3ファミリーの最上位モデルとして公開されています。
③ マルチエージェントによる業務自動化
さらに発展すると、複数のAIが役割を分担しながら1つの業務を進めることも可能になります。
例えば、
管理AI
↓
検索AIが必要な情報を収集
↓
解析AIがデータを分析
↓
Coding AIがプログラムを作成
↓
Safety AIが処理内容を確認
↓
社内システム・DB・APIと連携
といった構成です。
単なる「便利なチャットボット」ではなく、企業のさまざまなデータや業務システムとAIを結び付ける基盤へと発展していくことが期待されています。

Nemotronはクラウドだけではない。ローカルAIという選択肢
NVIDIA Nemotronは、クラウドだけではなく、NVIDIA GPUを搭載したローカル環境への展開も想定されています。
NVIDIA公式では、RTX PROやDGX Sparkを含む幅広いプラットフォームへの対応を案内しており、エッジからクラウドまでさまざまな環境でAIエージェントを展開できます。
企業にとってローカルAIを選択する理由のひとつが、データの管理方法を自社で設計できることです。
例えば、
・設計データ
・研究データ
・ソースコード
・品質情報
・社内技術資料
・業務ノウハウ
などを扱う場合、自社ネットワーク内にAI環境を構築したいというニーズがあります。
ただし、Nemotronにはさまざまな規模・用途のモデルがあるため、
「Nemotronを使う=巨大なGPUサーバーが必須」
というわけではありません。
必要なハードウェアは、
・使用するNemotronモデル
・モデルの量子化方式
・コンテキスト長
・RAGやAIエージェントなどの用途
・同時利用人数
・必要な応答速度
などによって大きく変わります。
そのため重要なのは、単純に最も高性能なGPUを選ぶことではなく、
「何をNemotronにさせたいのか」からハードウェアを選ぶこと
です。
NVIDIA Nemotron おすすめ 動作推奨ワークステーション
アプライドでは、NVIDIA Nemotronをローカル環境で検証・活用するための推奨ワークステーションをご用意しています。
NVIDIA RTX PROシリーズを搭載したGPUワークステーションをはじめ、利用するモデルや用途に合わせて、CPU、メモリ、ストレージ、GPU構成のカスタマイズにも対応しています。
「Nemotronをローカル環境で試したい」「自社データを利用したRAG・AIエージェント環境を構築したい」といった場合は、下記の推奨構成もぜひご覧ください。

まとめ|NVIDIA Nemotronで始める次世代のAI活用
生成AIは、「質問すると答えてくれるAI」から、目的に向かって考え、必要な情報やツールを利用しながらタスクを進めるAIへと進化しています。
NVIDIA Nemotronは、
・高度な推論
・RAG・情報検索
・コーディング
・ツール利用
・マルチモーダル
・安全性
などを組み合わせながら、こうしたエージェント型AIを構築するための選択肢となるオープンなモデル・テクノロジーファミリーです。
特に、
「社内データを活用したAIを構築したい」
「研究・開発業務をAIで効率化したい」
「クラウドへ出しにくいデータをローカルAIで活用したい」
「自社業務に特化したAIエージェントを構築したい」
といった企業にとって、今後注目したいAI技術のひとつです。
アプライドでは、NVIDIA GPU搭載ワークステーションからマルチGPUシステム、GPUサーバーまで、利用するAIモデルや用途に応じたハードウェア構成をご提案しています。
NVIDIA Nemotronを活用したAI開発環境をご検討の際は、ぜひアプライドへご相談ください。