【Ansys Mechanical】構造工学向け有限要素法解析(FEA)ソフトウェア

製品概要

Ansys Mechanical の概要

Ansys Mechanicalは、米Ansys社が開発・提供する、有限要素法(FEA)を用いたハイエンドな汎用構造解析ソフトウェアです。直感的なユーザーインターフェースを備え、解析の準備(プリプロセス)から計算、結果の可視化(ポストプロセス)までを統合環境で実行できるのが特徴です。

 

1. 主要な解析機能と特徴

Ansys Mechanicalは、単一のソフトウェア内で多様な物理現象をシミュレーションするためのツール群を備えています。

  • 構造解析(線形・非線形): 一般的な線形静解析だけでなく、大きな変形(大ひずみ・大変形)や、部品同士の接触・摩擦を伴う非線形解析に対応しています。また、金属の塑性変形や、ゴムなどの超弾性・粘弾性材料など、複雑な非線形材料モデルも扱えます。

  • 動解析(ダイナミクス): 対象物が振動しやすい周波数や形状を確認する「モーダル解析」、外部からの周期的な振動に対する「周波数応答解析」、落下や衝突などの時間的変化を追う「時刻歴応答解析」などが可能です。

  • 伝熱解析: 熱伝導、熱対流、熱放射(輻射)による温度分布や、定常および過渡的な熱移動をシミュレーションします。

  • マルチフィジックス連成解析: 流体解析(CFD)や電磁場解析ツールと連携し、流体圧力による構造変形(流体-構造連成)や、電気的な発熱による熱応力など、複数の物理現象を組み合わせた解析(シーケンシャル法・ダイレクト法)に対応しています。

  • その他の高度な解析: 音波の伝播や共鳴を評価する「音響解析」、製品の寿命を予測する「疲労解析」、亀裂の発生や進展をシミュレーションする「破壊力学」機能なども搭載されています。

  • 最適化と自動化: トポロジー最適化(位相最適化)機能により、強度を保ちながら重量を削減する形状の自動探索が可能です。

Ansys Mechanicalは、応力、伝熱、振動、静磁場のほか、伝熱-構造解析や音響-構造解析といった複雑な連成解析を実行できるアプリケーションです。
Ansys Mechanicalでは、メッシュの生成や荷重の設定など解析に必要な条件の設定から、解析の実行、コンター図、断面図、アニメーション表示、グラフ出力などの結果を視覚化する一連の操作が可能です。

Ansys Mechanical のライセンス形態

Ansys Mechanical Pro

 

一般的な線形構造解析に加え、非線形接触解析、伝熱解析、一部の疲労解析などが利用できるエントリーモデル
モーダル解析によって、対象物そのものが振動しやすい周波数とその振動形状を確認できます
パラメトリックスタディによる最適化トポロジー最適化による設計手法を提供します

Ansys Mechanical Proで実行可能な解析タイプ

 

設計調査

パラメータ相関解析

パラメータの結果への影響を調査し、相関や感度の結果を得ることができます。

最適化解析

目標・制約に応じた最適なパラメータの候補を提案する解析です。実験計画法を利用して応答曲面を生成し、最適化解析に利用することが可能です。

 

トポロジー最適化解析

ノンパラメトリックな最適化手法で、質量や剛性などを目的関数に設定し、制約条件に基づいた形状を算出します。静的構造解析、モーダル解析、定常伝熱解析、またはこれらを組み合わせて利用可能です。

 

伝熱解析

定常伝熱解析

定常状態における温度分布、熱流束を求める解析、温度依存性を考慮した非線形熱解析のほか、熱輻射を考慮した非線形伝熱解析が可能です。

過渡伝熱解析

時間による温度変化や熱輻射を考慮した解析ができます。

 

Ansys Mechanical Premium

 

Mechanical Proの機能に加え、高度な非線形構造解析や動解析などが利用できるミッドレンジ・モデル
ゴム(超弾性)解析や応力ひずみ曲線をより詳細に定義した弾塑性解析に適用する非線形材料モデルが利用できます
周波数応答解析などの線形動解析や、非線形性も考慮できる時刻歴応答解析による動特性を把握できます

Ansys Mechanical Premium で実行可能な解析タイプ

 

より高度な振動解析

周波数応答解析や時刻歴応答解析といった静的応答解析が可能です。調和荷重に対する構造物の定常応答や時間依存の荷重に対する構造物の応答を解析できます。

 

ローターダイナミクス解析

ローターダイナミクス解析は回転機械の振動問題を解決します。高速で回転するジャイロ効果により発生するふれまわり挙動を解析できます。

 

剛体運動解析

ジョイントやバネで接続された剛体アセンブリモデルの動的応答が解析できます。これにより、ロボットアームやクランクシャフトなどの機構が検討可能です。

 

Ansys Mechanical Enterprise

 

Mechanical Premiumの機能に加え、高度な非線形材料、衝撃解析、連成解析など高度な機能を集結したフラッグシップ・モデル
クリープ粘弾性といった高度な材料モデルの利用や、亀裂進展や剥離といった複雑な破壊現象を把握できます。
解析モデル(メッシュ)の生成に必要なジオメトリデータの作成や修正に特化したツールを提供します。

Ansys Mechanical Enterprise で実行可能な解析タイプ

 

連成解析

構造解析に加えて、伝熱、電気、圧電、音響など複数の物理現象を解く解析です。それぞれの物理場を別々に求めるシーケンシャル法と、同時に求めるダイレクト法が可能です。

 

剥離解析

剥離解析では、接合部や積層材の境界面における剥離挙動を高精度に再現します。部材接合部や複合積層材の接合強度をシミュレーションできます。

 

亀裂進展解析

亀裂の発生およびその進展挙動をシミュレーションできます。亀裂が進展するリスクを予測し、亀裂の位置や形状、進展方向などを可視化します。

 

材料非線形

弾塑性材料など非線形挙動を示すもののうち、クリープや粘弾性、ガスケットなどの材料はEnterpriseのみに対応し、より高度な構造物の挙動を解析できます。

 

圧電解析

弾性マトリクス、圧電マトリクス、比誘電率マトリクスによって圧電体をモデル化し、電極に生じる電圧差による変形状態や振動特性を求める解析ができます。

 

音響解析

閉鎖または開放された空間内での音波の伝播を調査するための解析です。反射・回折・干渉などの波動的な現象をそのまま表現できます。
音場空間の共鳴周波数を評価するモーダル解析と、周波数特性を評価する周波数応答解析(フル法)、音波の時間変化を直接解析する時刻歴応答解析(フル法)が可能です。

機能一覧

Ansys Mechanical Enterprise/Premium/Pro の機能対応表

各ライセンスの簡易的な機能対応は以下の表のとおりです。● は、その機能に対応していることを示しています。

 
Ansys Mechanical Enterprise
Ansys Mechanical Premium
Ansys Mechanical Pro
静的構造解析
線形
幾何学的非線形 (大変形)
材料非線形
弾塑性
2 直線等方硬化則
2 直線移動硬化則 多直線等方 / 移動硬化則
 
その他の硬化則
   
超弾性
 
クリープ / 粘弾性
   
要素非線形
接触 (摩擦あり)
バースデス
 
亀裂進展 / 剥離
   
線形動解析
モーダル
周波数応答
 
ランダム・スペクトル
 
時刻歴応答解析
モード重ね合わせ法
 
陰解法 (フル法)
 
陽解法
   
伝熱解析
定常解析
過渡解析
輻射
その他の機能
疲労解析
機構解析
 
圧電・音響・連成場解析
   
SpaceClaim
   
カスタマイズ
   
トポロジー最適化
現在入手可能な最新のバージョンの機能対応の詳細は、こちらの PDF (2024R2_Capabilities) をご覧ください。

動作環境

Ansys Mechanical の動作環境

Ansysの統合操作環境、Ansys Workbenchに対応しており、Ansysの伝熱-構造解析などの連成のほか、メッシャーやポスト処理など、Ansys Workbenchが提供する様々な機能が利用可能です。Ansys Workbench操作環境内でAnsys Mechanical を起動することで、Workbenchの様々なソリューションと Ansys Mechanical を組み合わせて利用いただけます。

ライセンス

主なライセンス形態(階層モデル)

ユーザーの必要な解析レベルに応じて、主に以下の3つのライセンス形態(グレード)が提供されています。

  • Ansys Mechanical Pro(エントリーモデル): 一般的な線形構造解析、伝熱解析、非線形接触解析、基本的な疲労解析などに特化した構成です。

  • Ansys Mechanical Premium(ミッドレンジモデル): Proの全機能に加え、超弾性や弾塑性などの高度な非線形材料モデルの利用、および周波数応答や時刻歴応答などの動解析機能が追加されます。

  • Ansys Mechanical Enterprise(ハイエンドモデル): Premiumの全機能に加え、クリープや粘弾性などの複雑な材料モデル、剥離・亀裂進展などの高度な破壊力学解析、複数の物理場を同時に解くダイレクト連成解析などが可能になります。

その他

利用環境とメリット

  • 統合プラットフォーム: 3D CADデータとの強力な連携機能(自動メッシュ生成技術など)を持ち、設計変更時のパラメーター更新や再解析がスムーズに行えます。

  • 計算の高速化: HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)やGPUリソースを活用した並列計算技術により、大規模で複雑なモデルの計算時間を大幅に短縮できます。

  • 適用業界: 航空宇宙、自動車、エネルギー、エレクトロニクス、医療機器など、世界中の幅広い産業で50年以上の活用実績があり、物理的な試作回数の削減(コスト・時間の大幅なカット)に貢献しています。

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