
若水技研株式会社 様

保有設備 | 自社開発円筒型レーザー加工装置、5面加工機 回転軸付加 |
全静圧平面研削盤、その他汎用加工機全般 | |
事業内容 | ウェブ搬送系設備、部品の設計製作、ロール表面加工etc… |
従業員数 | 13人 |
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紙、フィルム、金属箔などの長尺で柔軟な素材の搬送、搬送設備の製作やコンサルティングを手掛ける「若水技研株式会社」。
アプライドのAI外観検査ソリューションを導入され、その効果や成果について、代表取締役の清水様にお話しを伺ってきました。

課題
目視検査の属人性
傷を見逃してしまうとフィルムを破損させてしまい、
作業員にも大きな負担。納品までに時間がかかる。
導入効果
ダブルチェックスタイルの確立
コスト削減と品質向上が実現し不良品がゼロに。
作業効率もアップした。
見えない原因を見える化した独自開発「マイクログローブロール」
技術×現場×理論のトリプルハイブリッド
「若水技研株式会社」は、ロールからロールへ巻き付ける生産方式ロールtoロールに特化した装置を開発、提供し、約40年の歴史を誇る専門メーカーです。
最近では、装置製造だけでなく、フィルムやシートを扱うお客様の現場で何が最適か、コストパフォーマンスに優れているかを考え、提案するコンサルティングも提供されています。

ローラー表面を工夫したマイクログローブロール

清水社長
「シートやフィルムを扱う現場ではシワや傷、ゆがみなどが不良品の発生につながっており、課題となります。
お客様のニーズが『対症療法』的なメンテナンスから『根本改善』へと変化し始めた背景を受けて、今から20年前に開発したのがマイクログローブロールです。一見すると「現象の原因がわからない」トラブルに対し、ローラー表面に微細な溝を加工するという方法を先代が発案。ローラーにどんな溝を付ければシワやゆがみが改善できるか、先代が実験を重ね、自社開発で装置そのものを製作。
シワやゆがみを改善できるマイクログローブロールは、極細の溝をローラー表面に設け、そこに空気を逃すことでロールとウェブ間の有効摩擦係数を維持することが可能になりました。」

「溝の設計理論は大学との共同研究、学会発表もされていますが、当社では、現場に即した技術開発を重視しています。複雑な現場では、理論では対応できないこともあります。顧客の悩みの原因は見えないところにあったりするため、ローラーそのものだけでなく、装置、ノウハウまでコンサルティングさせていただいてます。」と清水社長。
若水技研は、
- ・製造現場の課題を丁寧に拾い上げ
- ・機械、流体、摩擦に関する理論的なアプローチで再定義し、
- ・自社内でのナノオーダーの加工と検証技術で形にする
トリプルハイブリッドの技術者集団です。このスタンスでフィルム関係の大手企業や、大学から絶大な信頼を勝ち得ています。


検査の感覚値からの脱却
職人不足の壁をAIでブレイクスルー

清水社長
「ロールの溝についた小さな傷や汚れをチェックするといった、従来の外観検査は、熟練作業者の目視に大きく依存していました。人間の目はとても性能が高く、どんなに小さくても見えるのです。
ただ、コンマ3ミリ以下の傷をチェックするのはとても目が疲れます。見逃してしまうとフィルムを破損させてしまうため、不良品となります。検査員2~3人で年間1000本以上となると、作業員にも大きな負担がかかります。
また、人数を増やすにしてもスキルや技術面の問題もあります。そこでアプライド社のAI外観検査ソリューションを導入することに決めました。」と清水社長。

こうした状況を打破するために、AI外観検査ソリューションを導入。AI外観検査の導入により、「人の目では見逃していた不具合」も健在化するようになりました。今まで、ローラーをくまなく肉眼でチェックしていた工程をAI外観検査でチェックし、微小な傷や汚れを早期に検出・分類。作業員はその部分をチェックするため、負担も大幅に軽減できます。



現場の目とAIのダブルチェックで不良ゼロに
将来的にはAIを教育し、ナノの分野へ

清水社長
「将来的にAIだけに任せることができればいいのですが、まだまだ目視のチェックは必要です。例えば、AIはマットなものは得意なのですが、鏡面仕上げのローラーは苦手。影を傷と判断したり、OKなものをNGに判断したりしてしまいます。そのため、発見はAI、判断は検査員とダブルチェックのスタイルをとっています。
アプライド社のAI外観検査は、AIに苦手な人でも誰でも扱えるのが魅力ですね。速度も速く、作業効率も上がりました。AIモデルの作成手順から画像処理の精度向上までサポートしてもらえるのもありがたいです。
今、1ミクロンなどナノレベルの微細加工への挑戦を始めています。その場合は、人の目でのチェックはかなり難しいため、AI技術が必須になります。今後は発見だけでなく、判断も学習し、AIだけで検査ができるのが理想ですね。」と清水社長。



代表取締役 清水宏晃 様
若水技研株式会社 代表取締役
2025年1月に社長就任。1982年創業、祖父、父、叔父に継いで3代目となる。