アプライド AIハードウェア専門エンジニア監修

ローカルLLM・RAG導入
最適なハードウェア構成
の選定ガイド

レスポンス速度と実務での動作可否は、GPUのVRAM容量(完全格納)メモリ帯域幅の2つの要素で決まります。用途に合わせた最適な構成をご案内します。

Selection Logic

選定で重視すべき2つの仕様

CPUのコア数や一般的なGPU性能だけでなく、以下の2つの指標を確認することで業務利用に耐える構成を選択できます。

要件 1:VRAM容量 モデルデータの完全格納

VRAM内にモデル全量を保持できるか

LLMは推論時、数GBから数十GBのパラメータをGPU専用メモリ(VRAM)上に常駐させます。 VRAM容量が不足すると、あふれたデータが速度の遅いメインメモリ(CPU RAM)へ退避され、処理速度が大幅に低下します。

VRAM内に完全格納 高速処理(数十トークン/秒)
VRAM不足(メインメモリ利用) 低速化(1〜2トークン/秒)
要件 2:メモリ帯域幅 文字出力スピードの指標

1秒間のデータ転送スピード

LLMのテキスト生成は、1文字出力するたびにモデルデータ全体をVRAMから読み出す処理を行います。 メモリ帯域幅(GB/s)が広いほど、1秒間に生成できる文字数が増加します。

標準PC (DDR5 RAM): 96 GB/s 基本速度
RTX PRO6000 Blackwell: 1,800 GB/s 約19倍の転送速度

必要なVRAM容量と最適構成を計算する

推論・RAGでは総ユーザー数(同時利用は約5%)を含む運用条件から、ファインチューニング・事前学習では学習用の計算条件から、必要なVRAM量と推奨システムを試算できます。

↓ 構成シミュレーターへ
Interactive Configurator

ハードウェア最適選定シミュレーター

推論・RAGはExcelの前提条件、ファインチューニング・事前学習は従来の学習用計算式に基づき、必要なVRAM容量と推奨構成を算出します。

1 運用条件の選択

2 試算結果と推奨ハードウェア

必要なVRAM容量(完全格納目安)
7.5 GB 以上
※モデル本体 7GB(基本オーバーヘッド2GB含む)+KVキャッシュ 0.5GB(同時1名)
推奨メモリ帯域幅
273 GB/s 以上
推奨CPU/RAM構成
16コア / 64GB RAM
推奨構成 レンジ ①
EdgeXpert (DGX Spark GB10) 搭載モデル

広帯域メモリ接続によりコストパフォーマンスよくローカルLLMを動作させるエントリーモデル。

カタログ仕様を見る →
※添付Excelの前提条件に基づく試算値 カスタム仕様を無料相談
Phase & System Balance

LLMの4つのフェーズと必要なPCパーツ

実行するフェーズによって必要とされるハードウェア資源の重点が異なります。

STAGE 1 データセンター規模

① 事前学習 (Pre-training)

テキストデータから言語モデルをゼロから構築する基礎段階。

主要要素
超並列GPU群 (DGX SuperPOD / GB300)
STAGE 2 ハイエンドWS

② ファインチューニング

既存モデルに専門知識を追加学習させ、特化モデルを作成する工程。

主要要素
大容量VRAM GPU(推論の数倍領域)
STAGE 3 WS / Edge

③ 推論 (Inference)

構築済みモデルを用いてプロンプト処理と回答作成を行う標準運用。

主要要素
VRAM容量(完全格納) & メモリ帯域幅
STAGE 4 実業務向け

④ RAG構築・運用

社内文書等を検索し、最新情報を付与して回答精度を高める構成。

主要要素
GPU + 多コアCPU + システムRAM + NVMe

パーツ別の役割と注意点

GPUに加え、RAG運用における文書分割・ベクトル化の前処理や大規模モデルファイルのロードでは、CPUやストレージの規格が影響します。

CPU
前処理・テキスト抽出・ベクトル検索

長文プロンプトの評価やPDFからのテキスト抽出ではCPUのマルチコア性能が影響します。

RAM
モデル読み込みバッファ & システム一時領域

起動時にストレージからVRAMへ転送する際の中継地。複数同時リクエスト時の安定性を確保します。

SSD
モデルファイルのロード時間

30GBのLLMモデル読み込み時、SATA SSDで約60秒かかる処理も、NVMe Gen4なら約6秒で立ち上がります。

ストレージ規格別:30GBモデル読込時間比較

秒 (sec)

※PCIe Gen4以上のNVMe SSD採用によりモデルロード時間を短縮できます。

GPU Deep Dive

VRAM内訳とメモリ帯域幅の比較

単なるモデルサイズ以上のVRAMが必要となる理由と、帯域幅による出力速度の違いについて解説します。

VRAM内訳(推論時)

モデル重みに加えて文脈保持(KV Cache)等の領域が必要になります。

■ モデル重み (約65〜75%) パラメータ数 × 量子化精度
■ KVキャッシュ (約15〜20%) 対話履歴・コンテキスト情報
■ 計算作業領域 (約10〜15%) CUDAテンソルバッファ

主要構成別 メモリ帯域幅比較

帯域幅(GB/s)が広いほど1秒あたりのテキスト出力速度が向上します。

Token Speed
技術構成のポイント: VRAM不足によりCPUメモリへデータが退避すると、転送速度が約96GB/s(DDR5)に制限されレスポンスが低下します。十分なVRAM容量を持つ構成の選定を推奨します。
Product Lineup

目的・規模別 推奨ハードウェアラインナップ

アプライドおよびMSIの検証済み製品から、用途に適した構成をご案内します。

レンジ ① 小規模推論 / RAG導入

EdgeXpert (DGX Spark GB10) 搭載モデル

広帯域接続メモリにより、コストを抑えてローカルLLM環境を構築できるエントリーモデル。

想定モデル規模: ~10Bクラス (Gemma 12B / Qwen 7B)
想定アクセス: 〜10名程度
推奨用途: チーム利用・エッジRAG
製品仕様を見る (EdgeXpert)
レンジ ② 中規模推論 / 小規模FT

RTX PRO6000 Blackwell 1枚搭載 ワークステーション

48GBのVRAMと1.8TB/sの帯域幅を持つ最新GPUを搭載。4bit量子化(NVFP4/INT4)による70Bクラス推論やQLoRA調整に対応。

想定モデル規模: ~70Bクラス (Llama 3.3 70B)
想定アクセス: 10名〜50名程度
推奨用途: 部署内RAG・QLoRA学習
製品仕様を見る (PRO6000 1枚搭載WS)
レンジ ③ 大規模推論 / RAG基盤 / 本格学習

RTX PRO6000 Blackwell 複数枚 / H200NVL 搭載 WS & WS300

複数GPU構成により120B規模のモデル運用やファインチューニングに対応。高性能CPUと大容量RAMにより前処理も高速化。

想定モデル規模: 70B〜120Bクラス (GPT-OSS 120B)
想定アクセス: 50名〜100名以上
推奨用途: 全社推論基盤・ファインチューニング
レンジ ④ 全社プラットフォーム / 事前学習

DGX B300 / NVIDIA GB300 NVL72

NVIDIA Blackwellアーキテクチャ採用システム。大規模モデル(400B以上)の処理や独自基盤モデルの事前学習に対応。

想定モデル規模: 120B〜400B以上 (Qwen3 480B等)
想定アクセス: 1000名以上〜
推奨用途: 大規模自律型AI・事前学習
Model Reference Matrix

主要オープンLLMと必要VRAM目安

各モデルの「4bit量子化時の完全格納VRAM目安」を掲載しています。「試算する」ボタンで即座にハード構成をシミュレーションできます。

規模別フィルター:
モデル名 開発元 パラメータ数 4bit格納 VRAM目安※ 用途・特徴 シミュレーター連動
※VRAM目安値は、モデル重み(4bit量子化:約0.5GB/1Bパラメータ)+標準コンテキスト長のKVキャッシュおよびPyTorchテンソルバッファの合計値です。
Sizing Consultation

ハードウェア構成に関する無料相談

「自社の対象文書量での最適構成を知りたい」「精度と動作速度のバランスを考慮した仕様を検討したい」など、ご要件に応じた構成案とお見積りをご案内します。